良い米国の伝説の投資家ウォーレンバフェットの優先順位の決め方が、『GRIT-やり抜く力』にのっていたので紹介したい。
ものすごい読みやすくて、1時間くらいでさっと読める。
バフェットは優先順位をこう決める
バフェットはお抱えのパイロットの独立を応援するために、一つ貴重なアドバイスを授けた。
「君には、私のプライベートジェット機のパイロットを務めるよりも大きな夢があるのでは?」
「はい、実はそうなんです。」
「では、君に教えよう。」
ルール1:仕事の目標を25個書き出す
ルール2:自分にとって何が重要なのかをよく考え、もっとも重要な5つに丸をつける(5個を超えてはだめ)
ルール3:丸をつけなかった20個の目標を目に焼き付けて、今後それには絶対に関わらないようにする。なぜなら気が散るから。余計なことに時間とエネルギーを取られてては、もっとも重要な目標に集中できなくなる。
どこかで聞いたことがあるかもしれないが、「何をやらないか」を明確にすることから全てはスタートする。
「才能を持っていること」と「才能を活かせること」は別次元
『GRIT-やり抜く力』を読んで気になったことをメモする。
- 大学院時代に、業界屈指のビジネスパーソン・アーティスト・アスリート・ジャーナリスト・医者・弁護士などを対象にインタビュー調査を行った結果、ある共通の特徴が浮かび上がった。それは失敗してもくじけずに続ける事だった。
- 著者が作成した「やり抜く力(GRIT)」を測定するGRITテストでハイスコアをとった人たちは、進学率、特殊部隊合格率、英単語の暗記大会での勝率に高い相関関係を示した。
- 他方、一般的に「頭が良い・将来有望な賢い人」と思われるSAT(米国の大学入学時の基礎学力を測る試験)で高得点をとった人と、「やり抜く力(GRIT)」には、逆の相関関係があった。つまり、SATのスコアが高いほど「やり抜く力(GRIT)」が低いという驚くべきデータも判明した。
- やり抜く力は年齢を重ねるごとに伸びる
- やり抜く力は4つの特徴を持つ ①興味 ②練習 ③目的 ④希望
著者は、まずマッキンゼーをやめて学校の教師になった。
私にとっては、むしろコンサルタントになったことの方が回り道だったのだ。私は学生時代、地元の公立学校の生徒たちに学習指導を行っていた。卒業後は授業料免除の補習プログラムを立ち上げ、2年間運営を続けた。その後オクスフォード大学に留学して神経科学の学位を取得した。少し回り道をしたものの、ついに教職についた私は、ようやく自分の道に舞い戻った気がした。-p35
著者は、この教師生活の中で、勉強が苦手な生徒たちの中には自分が本当に興味を持っていることを話すときは、びっくりするほど頭の回転速くて生き生きしていることを知る。
著者は、才能によって運命が決まるとは思わなくなり、努力のもたらす成果に強い関心を抱くように。
著者は、教師を辞めて心理学者になった。
そこで、成功するためには才能よりも「努力」がもっとも大切なのであると気づく。
- マッキンゼーの面接官を喜ばせるためには、立派なフェルミ推定を披露すれば良い
- アメリカでもっとも革新的な企業に6年連続で選ばれたエンロンは、巨額の不正経理・取引による粉飾決算で2001年末に破綻。不正には全く関与していない20,000人の従業員の健康保険も退職金もなくなった。その企業文化は「誰よりも優秀だと証明せよ」というナルシストの温床で、「従業員を他人に勝たなければならない」という不安と衝動を常に抱かせて働かせるものだった。
- 一流の人は当たり前の事を日々積み重ねているだけ。だが、私たちは完璧な王者に憧れる。なぜか?それは天賦の才能を持つ人を神格化してしまった方が楽だから。ニーチェは、偉業を達成した人々を、天才ではなく「職人」だと考えるべきだと主張している。
「あまりに完璧な物を見たとき、我々は『どうしてあんな風になれるのか』と考えない。その代わりに「魔法によって目の前で奇跡が起こったかのごとく熱狂してしまう」。-ニーチェ
「我々の虚栄心や利己心によって、天才崇拝にはますます拍車がかかる。天才というのは神がかった存在だと思えば、それに比べて引け目を感じる必要がないからだ。『あの人は超人的だ』というのは、『張り合っても仕方ない』という意味なのだ」-ニーチェ
ここらへんが読んでて気になった。心に刺さった箇所。
「やり抜く力」を持つ人は4つの特徴を持つそうだ。
①興味
人間は興味がなければ続かない。
しかし、同じことをずっとやり続けていると飽きが来るはずでは?
達人は同じ物を見ても、いくつもの「ニュアンス」を発見することができる。
情熱にしたがって生きたいと思うのに、「これだ」が見つかっていない人は「発見」が足りない。自分に問いかけてみよう。
何を考えるのが好き?
いつのまにかよく考えていることはどんなこと?
私が本当に大切に思っているのはどんなこと?
私にとってもっとも重要なことは?
何をしている時が一番楽しい?
これだけは耐えられないと思うことは?
その上で、良さそうな物をためしてみる。つまらなければ辞めれば良い。そして良さそうだおもった物は続けて、仲間を見つけて、メンターを見つけてどんどん学べば良い。
②練習
意図的な練習をするのは一日に5時間が限界。
- 明確に定義されたストレッチ目標
- 完全な集中と努力
- 速やかで有益なフィードバック
- たゆまぬ反省と改良
これを満たすのが「意図的な練習」。
意図的な練習を行うためには「習慣化」が必要。仕事に着手する瞬間を自動化することが重要。
③目的
やり抜く力の鉄人は、他者への貢献を目標にする。
幸福になる方法は「快楽(生存の確率を高める事=食事や性交)を追う」か「目的(周りの人々の役に立つ、助け合う)を追う」か。
社会は安定した人間関係によって成り立っており、私たちは社会に属する事で食料を手にし、悪天候や敵から身を守ることができる。つまり繋がりを求めることは、快楽の追求と同じく、人間の基本欲求と言える。
やり抜く力が強い人は、「意義のある生き方」「他の人に役立つ生き方」をしたいというモチベが高い。
自分の最重要の目標を通して世の中の役に立てる人は本当に幸福だ。そういう目標を持っている人は、どんなに些細なことや退屈な作業にも意義を見いだすことができる。-p208
ただの建築作業をしているのでも、「レンガを積んでいるのか」「偉大な大聖堂を作っているのか」と思えるか(目的意識)の違いが、天職の見つけ方。
また、「この人みたいになりたい」と思えるお手本が身近にいると、強烈な行動エネルギーになる。
④希望
- 自分は無力だと思ってしまうのは、「苦痛」「試練」を自分の力で回避できないと思う人に当てはまる。
- つまり、回避できない苦痛=うつ病(食欲減退、睡眠障害、注意力低下、身体活動低下)の症状をもたらす。
- だから悲観主義者=自分の苦しみは自分ではどうしようもできないと思っている。逆に楽観主義者=自分の苦しみは一時的で特定の原因がある。と思っている。
- 子供の頃の褒められ方が一生を左右する。
- ダメな例:「才能があるね、挑戦しただけえらい、難しいね気にしなくていいよ、君には向いてないかもしれない他にもできることがあるよ」
- 良い例:「よく頑張ってね、今回はうまくいかなかったね、方法を見直してどうやったらもっとうまくいくか考えてみよう、よくできたねもう少しうまくできたかもしれないと思うところはある?、これは難しいねすぐにできなくても気にしなくてもいいよ、もうちょっと一緒に頑張ってみよう、一緒に頑張れば必ずできる。」
- 「無理」という思い込みがなくなる体験を持つ
- 支えてくれる人の存在が成功をもたらす
- 青年期に何らかの活動を最後までやり通すことは、やり抜く力を鍛えることになる
- ハーバード大学は、自分が好きなことや、価値があると信じている活動に脇目も振らず熱心に取り組み、厳しい鍛錬と努力を重ねた生徒たち」もたくさん入学させている
- やり抜く力の強い集団の一員になれ
- 偉大な選手になるためには、偉大なチームに入るしかない
- 周りの価値観が自分の信念に変わる
まとめ
興味を持って対象を掘り下げ、自分のスキルを上回る目標を設定してそれをクリアする練習を習慣化し、自分の取り組んでいることが、自分よりも大きな目的と繋がっていることを意識し、絶望的な状況でも希望を持つことを学ぼう。
PS
面接でもこのストーリーに沿ってきっちり意見を述べることができれば、そりゃ面接官の心揺れるわな。